恋人は専属執事様Ⅱ
お昼休みになり、私は紗羅さんと待ち合わせの約束をしたカフェテリアで紗羅さんを探す。
バフッと後ろから抱き付かれ、紗羅さんと今日3回目の再会を果たす。
のんびりとランチを食べる私を紗羅さんが急かす。
「淑乃さん、早くグラウンドへまいりましょう!良い場所を確保出来ませんわよ!」
グラウンドで何かあったっけ?
ポカンとする私に焦れったいと言いたげな表情の紗羅さんが
「メインイベントの応援合戦がありますでしょう?」
と言った。
知らなかった。
てゆうか、体育祭なのに応援合戦がメインイベントなの?
早く早くと紗羅さんに急かされて、急いでランチを食べ終えた私は紗羅さんに引き摺られて行った…
何とか前の方に居場所を確保して、グラウンドを眺めていると放送が入る。
『これより執事候補生による紅白応援合戦を始めます』
アナウンスと共に、グラウンドの両脇に設けられたゲートから学ラン姿の男子がゾロゾロと入場する。
……あれ?
見慣れた顔を見つけ、唖然とする私の耳にアナウンスが届く。
『紅組応援団団長、河野翔
 白組応援団団長、鷹護弓弦』
押忍!と言う2人の声がして、それぞれが応援団の前に進み出る。
河野さんは黒い長ランに赤い鉢巻と襷が映えている。
鷹護さんも白い長ランに白い鉢巻と襷が似合っている。
河野さんは白、鷹護さんは黒が似合うイメージが強かったけど、逆も似合ってすごく格好良い。
2人共背が高いから、長ラン姿が本当に似合っている。
大太鼓の音に合わせ、応援団長の声が響き応援団員が後に続く。
一糸乱れぬ動きはすごい迫力で壮観だった。
中学が女子校だった私は、先ずこれだけ大勢の男子を見たことかないから、それだけで圧倒された。
そして、いつも優雅な執事候補生が、こんなに男らしいのにも驚いた。
応援団員の中に宝井さんと秋津君の姿もある。
宝井さんは白い学ラン姿すら王子だし、秋津君は黒い長ラン姿が凛々しかった。
応援合戦が終わりほぅ…と息を吐いて隣の紗羅さんを見ると…ハンディカム?
「撮りましたわ…ズームでアップもバッチリですわ!」
紗羅さんって意外とミーハー?
「ディスクに焼いて一儲け出来ますわね」
…紗羅さん、本当に良家の子女ですか?
でも、紗羅さんのお陰で良いものが見れて得した気分。
眼福、眼福…
< 48 / 59 >

この作品をシェア

pagetop