恋人は専属執事様Ⅱ
「これは私からの命令です!全員水着に着替えて来てください!」
有無を言わせない口調で私が言うと、執事候補生のみんなが顔を見合わせて困惑してる。
「皆さんの仕える主人は誰ですか?」
執事候補生一人一人の顔を見ながら私は言った。
「「「「…お嬢様です」」」」
4人の声が綺麗にハモる。
「お嬢様、執事候補生たちが困っておりますよ。それくらいで許して差し上げては如何でしょう?」
穏やかな声と共に、やはり燕尾服姿の藤臣さんが木陰から現れた。
「お嬢様の仰ることは尤もです。君たちは別荘に戻って水着に着替えて来なさい。その間、お嬢様にはデッキチェアでお飲物を召し上がっていただきましょう」
そう言って藤臣さんは執事候補生たちを別荘へ戻すと、私にアイスティーを用意してくれた。
「オレンジアイスティーでございます。淑乃様のお好きなアールグレイにオレンジを絞り炭酸水で割ったものでございます。お口に合えばよろしいのですが」
そう言って藤臣さんがパラソルを立てたテーブルに置いてくれたのは、見た目も涼しそうな綺麗なグラス。
グラスの縁には輪切りのオレンジが飾られてる。
まさしく南国に来たって感じで、流石は藤臣さん。
「可愛い!美味しそう!いただきます!」
私はストローで琥珀色の液体を飲んでみた。
…美味しい。
頬を弛ませる私に、藤臣さんが
「淑乃様のお口に合ったようで何よりでございます」
と優しく微笑んだ。
「それにしましても、先ほどの淑乃様は随分と松本家のご令嬢に相応しい貫禄をお持ちでございましたね」
ちょっと楽しそうに笑う藤臣さんにむぅ…と思いながら、私は必死で喋った。
「いくら執事候補生とは言え、私に仕えるからってあの服装はあんまりです!時と場合と言うか…あれじゃあの人たちが先に熱中症で倒れちゃいますよ!」
頬を膨らませて言う私に、藤臣さんが満足そうな笑顔で
「それでよろしいと存じます。松本家の家風に囚われず、淑乃様は淑乃様らしさを武器に、次期松本家頭首におなりください。淑乃様には人を惹き付けるお力がございます。これはいくら学んでも得られるものではございません。そのお力こそ、淑乃様が松本家頭首におなりになる上で、大切なものでございます」
と言ってくれた。
有無を言わせない口調で私が言うと、執事候補生のみんなが顔を見合わせて困惑してる。
「皆さんの仕える主人は誰ですか?」
執事候補生一人一人の顔を見ながら私は言った。
「「「「…お嬢様です」」」」
4人の声が綺麗にハモる。
「お嬢様、執事候補生たちが困っておりますよ。それくらいで許して差し上げては如何でしょう?」
穏やかな声と共に、やはり燕尾服姿の藤臣さんが木陰から現れた。
「お嬢様の仰ることは尤もです。君たちは別荘に戻って水着に着替えて来なさい。その間、お嬢様にはデッキチェアでお飲物を召し上がっていただきましょう」
そう言って藤臣さんは執事候補生たちを別荘へ戻すと、私にアイスティーを用意してくれた。
「オレンジアイスティーでございます。淑乃様のお好きなアールグレイにオレンジを絞り炭酸水で割ったものでございます。お口に合えばよろしいのですが」
そう言って藤臣さんがパラソルを立てたテーブルに置いてくれたのは、見た目も涼しそうな綺麗なグラス。
グラスの縁には輪切りのオレンジが飾られてる。
まさしく南国に来たって感じで、流石は藤臣さん。
「可愛い!美味しそう!いただきます!」
私はストローで琥珀色の液体を飲んでみた。
…美味しい。
頬を弛ませる私に、藤臣さんが
「淑乃様のお口に合ったようで何よりでございます」
と優しく微笑んだ。
「それにしましても、先ほどの淑乃様は随分と松本家のご令嬢に相応しい貫禄をお持ちでございましたね」
ちょっと楽しそうに笑う藤臣さんにむぅ…と思いながら、私は必死で喋った。
「いくら執事候補生とは言え、私に仕えるからってあの服装はあんまりです!時と場合と言うか…あれじゃあの人たちが先に熱中症で倒れちゃいますよ!」
頬を膨らませて言う私に、藤臣さんが満足そうな笑顔で
「それでよろしいと存じます。松本家の家風に囚われず、淑乃様は淑乃様らしさを武器に、次期松本家頭首におなりください。淑乃様には人を惹き付けるお力がございます。これはいくら学んでも得られるものではございません。そのお力こそ、淑乃様が松本家頭首におなりになる上で、大切なものでございます」
と言ってくれた。