恋人は専属執事様Ⅱ
水分補給をしながら休憩し、私は日焼け止めを念入りに塗る。
ウォータープルーフとは言え、こまめに塗らないと直ぐに赤くなってしまうから。
不意に目の前が陰り顔を上げる。
「背中に塗ってやるよ」
片側だけ口角を上げて笑う宝井さんがそう言った。
「ウェットスーツだから焼けないですよ」
私は首筋へ念入りに塗りながら答える。
「折角の水着姿が台無し」
クスッと笑うと、宝井さんは河野さんに話し掛けに行った。
あのエロ王子~…
鼻や頬など焼けやすい場所にも念入りに日焼け止めを塗り、鏡で塗りムラがないか確認すると
「また泳いで来ます」
とみんなに声をかけた。
「え?ちょっ…お嬢~!」
河野さんの慌てる声に少し悪戯心が芽生えた。
私は波打ち際で軽くストレッチを済ませ、ゴーグルとシュノーケルとフィンを着けて海に入った。
ウェットスーツも手伝って、浮力は邪魔なくらい十分にある。
沖に見えるあの岩まで行ってみよう。
私は大きく息を吸い込むと、目標地点を目指して潜って泳ぎ始めた。
泳ぐことに夢中になっていた私は、いつの間にか潮の流れが変わったことに気付かなかった。
高波に襲われ動転して大量の海水を飲み込み、益々動転してしまった。
波に呑まれ上下が分からなくなった。
息が保たなくなったその時、強い力で海面に引き上げられた。
「大丈夫か?」
ゴホゴホと咳き込む私を抱え上げ、波に呑まれないようにしてくれるその人は…
額に貼り付いた前髪をしなやかな指で優雅に掻き上げるその人は…
「…宝井さん?」
顔が濡れるのも髪がゴワつくのも嫌だと言っていた宝井さんが、頭からずぶ濡れで私を抱えていた。
「何の為に俺たちを着替えさせた?こうなることを未然に防ぐ為だろ。1人で勝手な行動をするな…海をナメるな!」
いつもの澄ました顔も意地悪な顔もそこにはなく、宝井さんが本気で怒っていると分かった。
「…ご免なさい」
私は項垂れて謝った。
「いいよ…淑乃が無事だったからさ……ほら、捕まって」
宝井さんは私を背負うようにして泳ぎ、デッキチェアまで抱き抱えて運んでくれた。
その後、私は鷹護さんにたっぷりと叱られ、別荘に戻ってからは藤臣さんにもたっぷりと叱られた。
こうして、私の長いGWの初日は終わった。
ウォータープルーフとは言え、こまめに塗らないと直ぐに赤くなってしまうから。
不意に目の前が陰り顔を上げる。
「背中に塗ってやるよ」
片側だけ口角を上げて笑う宝井さんがそう言った。
「ウェットスーツだから焼けないですよ」
私は首筋へ念入りに塗りながら答える。
「折角の水着姿が台無し」
クスッと笑うと、宝井さんは河野さんに話し掛けに行った。
あのエロ王子~…
鼻や頬など焼けやすい場所にも念入りに日焼け止めを塗り、鏡で塗りムラがないか確認すると
「また泳いで来ます」
とみんなに声をかけた。
「え?ちょっ…お嬢~!」
河野さんの慌てる声に少し悪戯心が芽生えた。
私は波打ち際で軽くストレッチを済ませ、ゴーグルとシュノーケルとフィンを着けて海に入った。
ウェットスーツも手伝って、浮力は邪魔なくらい十分にある。
沖に見えるあの岩まで行ってみよう。
私は大きく息を吸い込むと、目標地点を目指して潜って泳ぎ始めた。
泳ぐことに夢中になっていた私は、いつの間にか潮の流れが変わったことに気付かなかった。
高波に襲われ動転して大量の海水を飲み込み、益々動転してしまった。
波に呑まれ上下が分からなくなった。
息が保たなくなったその時、強い力で海面に引き上げられた。
「大丈夫か?」
ゴホゴホと咳き込む私を抱え上げ、波に呑まれないようにしてくれるその人は…
額に貼り付いた前髪をしなやかな指で優雅に掻き上げるその人は…
「…宝井さん?」
顔が濡れるのも髪がゴワつくのも嫌だと言っていた宝井さんが、頭からずぶ濡れで私を抱えていた。
「何の為に俺たちを着替えさせた?こうなることを未然に防ぐ為だろ。1人で勝手な行動をするな…海をナメるな!」
いつもの澄ました顔も意地悪な顔もそこにはなく、宝井さんが本気で怒っていると分かった。
「…ご免なさい」
私は項垂れて謝った。
「いいよ…淑乃が無事だったからさ……ほら、捕まって」
宝井さんは私を背負うようにして泳ぎ、デッキチェアまで抱き抱えて運んでくれた。
その後、私は鷹護さんにたっぷりと叱られ、別荘に戻ってからは藤臣さんにもたっぷりと叱られた。
こうして、私の長いGWの初日は終わった。