ダイスキ熱愛先生！～溺愛教師の不純!?な個人授業～

バスに揺られてやって来たのは静かな温泉旅館。

都心から割と近いが、緑に囲まれ、街の喧騒から離れた宿として人気があるところだ。
というか、ここも三神グループ系列の旅館だ。


結局、強化合宿というのは受験対策の一環で、進学予定の3年生を対象に、泊まりがけでみっちり勉強するという合宿らしい。こう聞くと地獄のようだが、勉強が終われば温泉に入れたりもできるので受験生のリフレッシュも兼ねているそうだ。


「銀次さん、こんな所で何やってるんですか？」

「……俺だって聞きてぇよ」


旅館の支配人がコソコソと耳打ちしながら俺に訊ねてきた。もちろん、ここには仕事で何度も来たことがあるため顔がバレている。入った瞬間、スタッフも皆ギョッとした顔になっていた。


「…とにかく、俺のことは知らないフリしといてくれ。バレちゃまずいんだ」


支配人にそうお願いし、生徒と先生が集まっているロビーに戻った。



はぁ…、なんで俺がこんな所に…。めんどくせぇ。一日中教える方の身にもなってみろ。

ため息を吐きながらチラッと生徒たちの群れを見れば、友人と談笑している結衣が目に入る。


……まぁ、結衣がいるからいいけども。

受験生が対象なので、当然結衣も参加している。ほぼ強制的なので仕方ないが、こんな合宿しなくたって俺んちに泊まればたっぷりと個人的に教えてあげられるのに…。


そんな不合理なことばかり考えながら、合宿はスタートした。