ダイスキ熱愛先生！～溺愛教師の不純!?な個人授業～

見覚えがないな…。

遠慮なくじっと見ていると、その女性はスッと立ち上がりこちらに近付いてきた。


「三神さん、はじめまして。藤堂蘭子と申します」

キレイにお辞儀をしながら、こちらを見て微笑んでいる。見事な作り笑顔だ。真正面から見ると、美人だが少し目つきがキツイ。

今の状況がよく理解できないが、なんとなく嫌な予感がする。警戒しながら訊ねた。


「僕に何か御用でしょうか？」


「突然お邪魔して申し訳ございません。お父様から一度職場を訪ねてみては、とお勧めがありましたので」


親父が…？理解できない顔をしているのが伝わったのか、その女はまたもや作り笑顔で俺に言った。


「お父様からは何も？」

「ええ。申し訳ありませんが、何のことか分からないのですが」


俺のその言葉に、目の前の女よりも動向を見ていた校長の方が驚いていた。


「銀次くん！お父さんから何も聞いていないのか!?」


何も聞いてない。というか、接触しようにもずっと避けられている。

校長に向かってゆっくり頷くと、校長が信じられない様子で口を開いた。


「こちら、藤堂商事のご令嬢だよ。銀次くんの婚約者、だそうだ」