ダイスキ熱愛先生!~溺愛教師の不純!?な個人授業~
藤堂商事といえば、ここ数年、ホテル事業でアジア圏での勢力を拡大している注目の企業だ。

そこの令嬢を出してくるとは……なんつー分かりやすい政略結婚…。

俺たちの世界ではあまり珍しくないことだが、これは俺と結衣を別れさせるための親父の策略に決まってる。

そうはさせるか……。


廊下を大股でドカドカと歩きながら、すぐさま樋口さんに電話した。


「樋口さん?親父出して」

『申し訳ございません…一切繋がないように仰せ付かっておりまして…』

「隣にいんだろ?早く」

『しかし…』

「いいから、変われ」

『しょ、少々お待ちください…』


怒りを含ませた有無を言わせぬ俺の口調に、樋口さんがためらいながら保留に切り替えた。

軽快な音を聞きながらしばらく待っていると、再び樋口さんが電話に出る。


「親父はどうした?」

『申し訳ございません…やはりお繋ぎできません。その変わり、伝言を預かりました』

「伝言?」

『藤堂お嬢様の件は決定事項だ。近いうちに顔合わせする、とのことです』


あんのクソ親父がっ…!!ざけんなよ…。

舌打ちしながら電話をぶった切った。


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