ダイスキ熱愛先生!~溺愛教師の不純!?な個人授業~
はあぁっ!?エスコートだぁ!?
ふざけんなっ!!この女調子に乗りやがって!!


「藤堂さん、それはできません。…まるで、婚約の話を公然とする行為じゃありませんか」

キレてしまいそうな衝動を抑えて硬い声で問うと、藤堂蘭子がクスッと笑った。


「まあ…そうとも言えますわね…。でも、ちゃんとエスコートして頂いたら、私からもお父様に掛け合ってみてもいいですわよ?」

「…どういうことですか?」

言ってる意味がよくわからない。


「ですから、婚約話を見直してみては?と一度くらいお父様にお願いしてみてもいいですわよ」


つまり、俺がエスコートすれば、藤堂蘭子からも説得してくれるということなのか…?なぜだ…?


「皆に見せびらかすようなことをしたあとに、婚約を見直せとお願いするのですか?……矛盾している気がするのですが」

「そうですね…聞こえは悪いですが、駆け引き、と考えて頂いて結構です。私はただ三神さんにパーティーに出席して頂いて、誕生日を一緒に過ごして欲しいのです。でも、タダでは承諾なさらないでしょう?お互いメリットがある方法を考えてみましたの」


お互いのメリットって…確実に俺の方が不利じゃねえか。こいつの誕生日でエスコートって…ほとんどお披露目に近いぞ…。

俺は騙されようとしているのだろうか…?腑に落ちないまま藤堂蘭子を見つめた。


「ムリに、とは言いませんわよ?」

「……分かりました。いいでしょう」


やってやろうじゃねえか。
俺の了承の言葉に、藤堂蘭子はニコッと微笑んだ。

危険な賭けかもしれないが、少しの可能性でも逃すわけにはいかない。最悪な事態になったら……そん時はそん時だ。


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