ダイスキ熱愛先生！～溺愛教師の不純!?な個人授業～

樋口さんの話によると、親父は次の婚約者を探していたが、なかなか相応しい相手が見つからなかったらしい。

親父の本来の目的は俺の婚約ではなく、結衣と別れさせることだ。

時間をかけて婚約者を探すよりも、手っ取り早く結衣に的を絞ることにしたらしい。


藤堂蘭子の一件で樋口さんは俺たちの件から外されてしまったため、詳しい動向は分からないという。俺への恩があるということで、僅かながらも情報を流してくれた。



最悪な事態として想定していたが……早速やられてしまった。

きっと親父は汚い手を使って、結衣に俺と別れるように持ちかけてくるだろう。そんな腹黒い大人に囲まれたら、結衣だって抵抗できるはずがない。
それに、結衣の性格上絶対に自分から身を引くに決まってる。


親父の野郎…結衣に何かしたら今度こそただじゃおかねえ…。


怒りに震えながら不穏な空気を放っていると、先にリビングに戻っていた結衣が心配そうに顔をのぞかせた。


「先生？電話終わった？……そんな所で何してるんですか？」

「あ…いや…なんでもない」


何かあったんだと結衣には悟られないように、さっと笑顔を作ってリビングに向かった。