ダイスキ熱愛先生!~溺愛教師の不純!?な個人授業~

焦り、そして、覚悟

なんと情けないことだろうか。もうあんな失態はできない。
こんなどうしようもない想いは封印し、なるべく桐島には近付かないようにした。
授業中も意識して見ないように心がけている。


そう決意してしばらく経ったある日、職員室でウチのクラスの担任、芝内先生から声をかけられた。


芝内先生は30代後半の社会科の教師。妻子持ちだ。温厚で誠実なため、生徒からの信頼も厚い。


「三神先生!ちょっといいですか?」

「はい?何でしょうか?」


放課後の職員室。芝内先生は剣道部の顧問で練習に付きっきりのため、普段この時間は職員室にいないことが多い。


「そろそろ文化祭でしょう?ほら、生徒たちの下校時間が遅くなりますから、ちょっと注意して見てやってくれませんか?」

あぁ、そういえば生徒たちが慌ただしく駆け回ってたなぁ。もうそんな時期か…。

「えぇ、分かりました」

「助かります。僕も部活の合間になるべく顔を出しますんで」


ウチのクラスは喫茶店や劇といった出し物はせず、ペットボトルを使ったでっかいオブジェを作るらしい。

そのため、文化祭が近付くに連れて、遅くまで教室に残って作業をする生徒が増えるのだ。


桐島も残って作業するんだろうか…。
そんな考えが頭をよぎる。

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