セカンドキス
母親に夕食の買出しを頼まれた帰り道に彼の姿を見かけたのは、本当に偶然の出来事だった。

(勇気出さなきゃ・・・)

躊躇しながらも、また今日も彼と話す事が出来た。
そして、素直に言えた。
数日前に言えなくて後悔していたあの事を。

*
「ほら、一人で見に行くのって寂しいじゃない?」

彼女が見たいと言ったツリーは、ニュースでもよく流れていたから僕もよく知っていた。

「いいよ。行こう」

せっかくのクリスマス。
嫌いと言うよりむしろ好きな彼女の誘いを断る理由は、僕には、これっぽっちも無かった。

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