粉雪
(馬鹿だな、俺)

悔やんでも悔やみ切れない想いが、僕の心を締め付けた。

改札でどれ程待ったことだろうか。
仕事を終えたキミが、人込みの中から僕を見つけて、驚くその瞬間までどれだけの時間が過ぎただろうか。

「よく見つけたね?」
「ってか、何してるの?」
「何って・・・さ・・・。」
「さ?」
「寂しいと思ってさ。」
「誰が?」
「俺が。」
「嗚呼・・・。」

僕は、その後に続く言葉を待った。
けれど、キミから言葉が発せられる事は無さそうだった。

「一目逢えて、良かった。」
「うん。」
「じゃ、俺行くから。」
「え!?」
「いや、最初から顔見に来ただけだから。」
「そっか・・・。」
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