粉雪
一緒に改札を抜け、あの日と同じように
一緒に電車を待った。

すぐ隣に居るのに
眼を合わせる事も
手を繋ぐ事も
言葉を発する事もできぬまま
ただ時間は過ぎていき、電車がホームに到着した。

「じゃあ、行くね。」
「うん。元気でね。」

ゆっくりと僕は視線を上げ、キミと眼を合わせて言った。

「うん。元気で。サヨナラ」

崩れ落ちたキミをその場に残し、僕は電車に乗り込んだ。
そして、キミと同じように僕も崩れ落ちた。
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