上弦の月と下弦の月
序章
「お月さまだぁ〜!」
「本当だね。」
ある日。
月を見る親子がいた。
「でも、お月さま半分しかないよ〜?」
小さな女の子の問いに父親は微笑む。
「どこに行っちゃったんだろうね?
誰かが食べちゃったかな?」
「え〜!
誰が食べちゃったの?
お月さまがかわいそうだよ!」
「そうだね。
かわいそうだよね。」
小さな女の子の言動に、父親は笑いを堪えながら聞いていた。
「お月さま真ん丸に戻れるといいね!」
その言葉を聞いて、父親は女の子に優しく
「そうだね。」
と、笑い掛けた。