上弦の月と下弦の月



しかし、その時だった───


『パリーン!!』


そんな音がこの街に響き渡った。

驚いた子供たちが辺りを見回し「あれっ!」と一人の子供が指し示した。


いつのまにか暗雲が立ちこめ、紅と黒が混じった気味が悪いような空にそれはあった。


子供たちはその光景を見て唖然とした。こんな空は見たことがないし、こんな現象も見たことが無い。

普通は起きるはずが無いからだ。


「あり…えな、い……。」


レフィーが最初に口を開いた頃には、口は渇ききって擦れた声になっていた。



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