上弦の月と下弦の月



「あなたたちには生きてもらわなければならない。
魔族を倒せるのはあなたたちだけなの。

だから、倒すための術(すべ)をあなたたちで見つけて。
きっとあなたたちなら見つけられる。

…だって、私たちの子供だもの。」


潤んだ瞳で笑みを浮かべ、母親は2人を抱き締めた。

話の内容はよく分からずとも、とても危機的な状態なのは身を持って知っている。

だからこそ、今両親と離れたくはない。

だが。


「今はこの言葉の意味が分からなくても、もう少し大きくなればよく分かるはずだ。

それまではしっかり修業をするんだぞ。」


2人にもなんとなくわかってきた。


愛しそうに自分達を抱き締める両親。

あの言葉。


これは、

────さよなら、なのだと。




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