上弦の月と下弦の月
そこから遠く、遠く離れた異次元の世界では白い満月が輝いていた。
「生まれたのね………」
生まれた我が子を見て、母親は安堵の息を漏らす。
「双子だ、リフィーユ。
可愛い男の子と女の子。
きっと運命の子だよ、この子たちは。」
「そうだったら嬉しいわ。」
母親・リフィーユはフフッと笑みを零す。
言い伝え通り、運命の子だったとしたならば、
この国は、
この世界は、
魔王の手に落ちることはなくなる。
言い伝え通りなら。