上弦の月と下弦の月
「あら、おかえ…り…?」
「ただいま。」
「その子は…?」
そう問う妻にこれまでの経緯を話す。
妻は驚きつつも優しくほほえんだ。
「あなたらしいわ。
困っている人は見過ごせない質ですものね。
どうせ、家で育てたいんでしょう?」
「なんでそれを……」
「私はあなたの妻よ?
フフ、いい子に育てましょう。」
妻のその言葉に安堵の息をつく。
しばらく赤子を見つめて妻はあることに気付いた。