上弦の月と下弦の月
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「はっ!はっ!」
それから長い月日が経ち、ウィンはもうすぐ13歳になる頃だった。
まだまだ幼い筈の彼は、すでに剣を構えていた。
剣を教えたのは紛れもなく養父であった。
「頑張っているな、ウィン。」
「父さん。おはようございます。」
「おはよう。」
ウィンは養母の躾により礼儀正しい少年になった。
学舎すらない小さな村で、学ぶ相手といえば村の大人しか居ない。
その為、村の人々は自分の子と等しく村の子供に接する。
ウィンもその中に居たのだから、温かい大人たちに囲まれて、優しい少年にもなっていった。