上弦の月と下弦の月
「ねぇあなた……」
養父が家に入ると、ウィンの様子を眺めていたらしい養母が悲しそうな面持ちで振り返った。
「どうした?」
「明日はウィンが家にやってきてから13年。
ウィンも13歳よ。」
ウィンの誕生日は正確には分からないため、養父が拾い、名付けた日を誕生日としていた。
「13歳は大人として認められる歳。明日……話すべきではないかしら………?」
「もうそんな時期か…。
時が経つのがこんなに早いとは思っていなかった。」
養父は物思いに耽る。
本当の両親を知らぬまま、自分達を親だと思いウィンは育った。
2人も実の子を育てるようにウィンに接した。