上弦の月と下弦の月



そしてある日。


魔族との大戦がはじまり幾年経っただろうか。


日も沈みかけ、月が顔を覗かせる頃だった。

魔王の前に2人の若者が立ちふさがった。


それを見て魔王は、“ちっぽけな人間に何ができる”と鼻で笑った。


しかし2人は、希望と勇気に満ち溢れた顔をして“ちっぽけな人間にもできることはある”と言った。


そして、2人は力を合わせ天に開いた次元の穴に魔族を押し返し、穴を封じることに成功したのだ。

“いつか、我らはもう一度此処を貰いに来るからな!”

魔王はそれだけを残し、逆らえない力に流されていった。


人々は世界を平和に導いた2人を、英雄として名を刻んだ。


伝説の双子の魔道士として。


そして、その2人の子孫はいつかまたやってくるかもしれない敵を予知して生まれてくると言い伝えられている。


魔族を追い返した日と、同じように輝く満月の日に、英雄と同じように男女の双子が生まれてくると。



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