上弦の月と下弦の月
「きれいな満月ね……」
「あぁ…」
平和なこの時代。
人々は毎日を普通に、平凡に暮らしている中、英雄の子孫の一人の母親から男女の双子が生まれたのだ。
いつかやってくる厄災の予知の子なのかもしれない。
そして、その厄災が再び舞い降りたとき、世界を救うことができるのはこの2人なのかもしれない。
「リフィーユ、名前は考えたのか?」
母親は父親に優しい笑みを返す。
「2人で1人、1人で2人って言うのが双子だとおもうの。
それと同じように、月は上弦の月と下弦の月があるけれど、その2つが1つになれば丸い満月になるじゃない。
そんな名前にしたいと考えているのだけれど……
男の子は貴方の名前を使って『ライル』、
女の子は私の名前を使って『レフィ』と言うのはどうかしら…?」
「他国語の右と左が混ざっているのか?」
「流石ね。
その通りよ。」
「いい名前ではないか。」
2人は白く輝く満月を見て微笑んだ。