屋根ウラの天使

ほしかった弟みたいだ




引越しの次の日

前夜に現れた

天使の面影は

どこにもなく


私は

いつも通り

着替えて

屋根ウラから階段を降りた


「パパ、ママ、おはよう」


パパは

今日からもう会社だから

Yシャツに

ネクタイをしめて

朝食を食べている



「かおる

早かったのね

いつも寝坊なのに」


ママは私の分も

朝ごはんを用意してくれた


「いっただきまーす」


私は

プーさんの顔型に

こんがり焼けた

トーストに

ガブッといった


テレビでは

朝のニュースが流れていた


ニュースなんて聞いても

内容はよく分からないことが多い

でも

朝はパパが見るから

いつもニュースがついている


ボーッとテレビを眺めていたら

動く影に気づいた

テレビの脇の窓の外に

天使がさかさまに

張り付いていた




< 18 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop