屋根ウラの天使




ボールをキャッチしそこねて

追いかけてきていた子

立ち止まって

空中のボールを凝視してる


しばらくしてゆっくりと

視線を私に移す


「お、おねえちゃん…

もしかして、魔女?」


くりっとした大きい目と

整った顔立ちのその子は

大きい目をさらに大きく見開いて

私を見上げてる



「ちがうぞ!

ボク天使だぞ!

かおるはタダの

かおるだぞっ」


天使は相変わらず

上空でボールにしがみついたまま

主張した


なにぃ?

と思ったけど

言い返すと独り言になっちゃう



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