嘘つき①【-ハジマリ-】
嫌な気持ちが溢れてくる。


我慢しても我慢しても。

だからこれは我慢しなくていいという事。


啖呵をきった後、あたしは逃げる様に部長を背にした。


『欲しければやろう』


…確かに欲しいけど。そのリングじゃない。そんなに物欲しそうな顔していたのかな。馬鹿にしないでよ。


「バカ部長」


あたしは言葉を落とす。呪文のように何度も。


溜め息は思いっきり深くついて、すぐに吸い込んだ。そして、もう一度


「アホ部長!!」


思いっきった声を上げた後に多少スッキリ感。






「…アホやらバカやら」


それを遮ったのは


「言いたい放題だな」




部長の呆れた声。



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