嘘つき①【-ハジマリ-】
-忘れて下さい-
久しぶりに残業のない日。といっても、プロジェクトの打ち合わせがあって他の社員より帰宅時間は大幅に遅くなった。
部長と一緒のチームのあたしは否応なしに彼の空気に触れなくちゃならない。
あたしは緊張で疲れた体を引きづって真っ直ぐ家に向かう。歩いて10分。会社とあたしの住むマンションは近い。何て便利な。
一人暮らしの女性にしたら割と、いいマンション。がむしゃらに働く自分へのご褒美、なんて、単に会社に近いからって理由なのに。
結局、部長の態度は変わらないし、一人でヤキモキしてたあたしは胸を撫で下ろす。よく考えないでもバカな事を言ったから。部長とは今日1日、なるべく目も合わさなかった。時々、盗み見みてたから、視線には気付いたかもしれないけど。完全な不審者だ。
なんてぼんやり考えながら
「冴木?」
会社を出るあたしの背中に聞こえたのは、
今は、聞きたくない、耳障りの良い低い声。
部長と一緒のチームのあたしは否応なしに彼の空気に触れなくちゃならない。
あたしは緊張で疲れた体を引きづって真っ直ぐ家に向かう。歩いて10分。会社とあたしの住むマンションは近い。何て便利な。
一人暮らしの女性にしたら割と、いいマンション。がむしゃらに働く自分へのご褒美、なんて、単に会社に近いからって理由なのに。
結局、部長の態度は変わらないし、一人でヤキモキしてたあたしは胸を撫で下ろす。よく考えないでもバカな事を言ったから。部長とは今日1日、なるべく目も合わさなかった。時々、盗み見みてたから、視線には気付いたかもしれないけど。完全な不審者だ。
なんてぼんやり考えながら
「冴木?」
会社を出るあたしの背中に聞こえたのは、
今は、聞きたくない、耳障りの良い低い声。