嘘つき①【-ハジマリ-】

「…部長」



振り向かなくても彼の存在は背中で感じたけれど、あたしはゆっくり向き直る。




高級外車が嫌みなく似合い過ぎるモデル体型のシルエット。


「やっぱり、冴木か」


部長は形良い瞳を僅かに細める。


「な、何でしょう」





だから、その顔は反則過ぎる。





「乗りなさい」


そして、断る事を選べない命令口調。


あたしは溜め息をついてすぐに吸い込んだ。



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