嘘つき①【-ハジマリ-】
「…後悔しても知らない」
部長の声が、静かに響いた。
見透かすような冷たい瞳。
あたしはその言葉に必死にしがみつく。
『いらなくなったら捨てて』なんて自分でもなにを言ってるのかさっぱり分からない。
だけど、本気の関係じゃないなら、せめてもの強がりで。
「…本気で好きになっても知りませんよ」
「問題ない」
部長が、まるで、有り得ない事の様に言うから、あたしは部下を挑む様に見つめて
その薄い唇を塞いだ。