嘘つき①【-ハジマリ-】
部長はあたしのスーツのボタンを器用に外してシャツの上から膨らみを撫でる。
敏感になった突起を指先でツッと這わせて、シャツのボタンを外した。表になる下着に恥ずかしくて顔が熱い。何の熱か分からないけれど。
「やっ、や、めて下さ…い」
鼻にかかる様な甘い声は他人の声の様で、熱が身体中を駆け抜ける。彼はあたしの胸を舌先で舐めた。
くちゅくちゅと音を立てて糸を引くそれに目眩がする。
「…やめて欲しいか?」
部長は逆らえない視線であたしを眺めた後、耳元で囁く。
「…っっ!!」
動きを止めた指先。
その指に光るリングに一瞬気を取られる。
脈打つ様な刺激。耐えられなくなった身体が拒む言葉を知らない。
それなのに、
その瞳が何故か怖くて、
身体よりも、熱を持たない部長の感情が伝わって、
逃げ出したい衝動に駆られた。
「…君が誘ったんだろう」
その冷たい口調は、私自身の羞恥を誘い、赤い舌に痺れる様な感覚が突き抜けた。