嘘つき①【-ハジマリ-】
こんなにも求めたのに、
何故か、流れたのは一筋の涙。
それが堰を切ったように溢れ出して、止まらない。
「ふぇっ、…ず、ずいま゛ぜんっ…」
怖い、この期に及んでそう思った。
最悪だ、あたし。
止まらない涙に、部長が、息を吐く。それに益々体が恐縮していく。
部長が、
ふわりと私を抱きしめた。
さっきとは違う、優しい目で、優しい声で、
「…ずるいな、君は」
小さく、部長の声が漏れた気がした。