嘘。『彼』
「いらっしゃいませ〜」




私は何の躊躇いもなく、そのビルに入った。




私は静かに辺りを見回してると、見慣れたホストがビップ席に通してくれる。




私はゆっくり座り、タバコに自分で火を付けた。




ため息混じりの煙りを吐き出し、一点を見つめる。




しばらくすると、挨拶もそこそこに私の隣にどかっと座る男―――





雅人。






「久々ぢゃなぃ?」







「ぅん…」








「………」










「ふぁぁあ〜ねみぃ〜」







「お腹減った?」








「よく分かったね〜」












雅人。そう。私の大好きだった人










そして、今でも大好きな人。



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