嘘。『彼』
私は月一ペースでここに来ている。



営業の電話が来るわけでもなく、私がボトルを出す訳でもない。



かなりの細客。



店の女の子達に会わない様に、いつも個室のビップに座っていた。





りおちゃんに何も言ってあげれないのは、私自身、この男雅人が好きだからだ。




望みが無いで恋に恋してるのかも知れない。



No.と言う響きが好きなだけかもしれない。




雅人の顔が好きなだけかもしれない。




そんな事を思っては、私は雅人の事好きな訳がない。



そういい聞かせてきたんだけど――










ひたすら速くなる鼓動を私はずっと止められずにいたんだ。








< 30 / 85 >

この作品をシェア

pagetop