嘘。『彼』
三ヶ月も経てば、お互いの顔なんてトックに忘れてる。






でも、私は雅人の顔を見た瞬間、一瞬で彼に引き込まれてしまったんだ…





今と違って少しキョドリ気味で可愛くも見えた。



細い指。


長い猫みたいな髪。


顔に似合わずハスキーな声。


柔かそうな唇。


笑ったらなくなる目。


全て私のツボだった。



自分の心臓が体中を支配してて苦しい。


これこそ一目惚れ―








私と南はその日から、雅人の所も含め、色んな、ホスクラに毎日の様に通った。





接客する側から、接客される側。




夜の世界をあまり知らなかった私達は、底無しの闇がある事に気がつかず、ドンドン闇に呑まれていった。




頭では、イケないと思いつつも私達の頭は、ドンドン覚醒してゆく――





< 32 / 85 >

この作品をシェア

pagetop