嘘。『彼』
雅人と初めてしたキスは、送りの階段。



華奢だけど男らしい腕で、一段階段を降りた私の後ろ姿を抱き締めてくれた。



客に迫られたりするのは嫌だろうと思って、振り向いて抱き締めかえしたかったのを我慢した。







ギュッ――






もう一段階段を降りようとした時、雅人は私の腕を掴んだ。








そして雅人と目が合ってしまった―――






私の脈が波打つ…




雅人?





反則だょ…






貴方に触れなければ






私はこんなに貴方が欲しいと思わなかったかもしれない。





心配しないでも、いいお客さんで居られたのに…






この時の私は、あなたの行動一つ一つ全てが私の心震えさせたんだよ…





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