嘘。『彼』
「お疲れ様でぇす!ぁっ!沙良さんっ!!」



更衣室のドアを勢いよく開けて私を呼ぶのは、一つ下の、りおちゃん。


私があまりの勢いに目を丸くしていると、笑顔で、喋りかけてくる。


計算の無い無邪気な笑顔。



「沙良さんっ!今日は付き合ってくださぁぁぃ!」




少し酔っ払っているみたいだった。



そういえば今日りおちゃんの誕生日だったっけ…



「つきぁってくだざぃねぇぇっっ!!」



考えてる暇もなく、りおちゃんは私の手を引っ張った。




基本人見知りで、女の子達とも深入りはしなかった私だったけど、りおちゃんの人懐っこさと、自然な笑顔にいつの間にか引き込まれていた。




無邪気なこの笑顔でお客さんも多い。





「どこいくの〜?!」



引っ張られるまま、私はりおちゃんの後に着いていった。



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