嘘。『彼』
沙良の顔色は、びっくりする程わるかった。



そして、前にも増してガリガリの体。



「沙良痩せすぎじゃない?」



「そぉかな?」



「ぅん…」



こいつまた薬やってんじゃ…



でも…まぁ…俺には関係ないか…




「ふぁぁあ〜」




あぁ〜こいつの前じゃアクビが出る…




沙良はまだ俺がホストを始めたばっかりの頃付き合ってた女だ。




まぁ…元カノ?




だから今更、喋る事はあんまり無い。




最近は一ヶ月に一、二回のペースになったし、まぁ楽なのは楽。


変な色目使われずに、気をまわさずいれるし。


でも金にはならないかな。


「この前ちゃんと病院いった?」



「ぅん。ごめんね。迷惑かけて。もう完璧治ったし」



沙良が笑う。




沙良だ。




元カノって言っても、こいつは店にくる時、いつの間にか、営業用の笑顔しか見せなくなった。




だから、昔みたいに、亜紀子と呼ばなくなった。




俺も一応ホスト雅人として接してはいる。






この前は、目の前でイキナリぶっ倒れたから、思わずびっくりして亜紀子って呼んじまったけど…





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