嘘。『彼』
その日久々に雅人と体を交えた。




「んっ…まぁ…」



「沙良…」



雅人の歪む顔が私を熱くさせる。



「好き…すき…」




私は何度も雅人に抱きついた。







そして雅人はいつの間にか私の横でぐっすり眠っていた。





私は静かに布団から出るとタバコに火を付けた。





「ふぅ〜…ゲホッゲホッ…」







「沙良…?」




「ごめん…起こした?ゲホッゲホッ…」




「そんな格好でいたら風邪引くぞっ。」




雅人は後ろから毛布を掛けて抱き締めてくれた。




「あったかぃね…」



私は雅人に軽くキスをした。



「俺も吸う…」



私の吸いかけのタバコを手に取って、雅人も私に軽くキスをした。





まるで、この瞬間だけ時間が戻ったかの様に感じる――






< 65 / 85 >

この作品をシェア

pagetop