嘘。『彼』
「ねぇ雅人?あの女、沙良ってこじゃない?」



俺は沙良を放って、別の客の席に着く。



「えっ?」




何で沙良の名前…




「雅人。あのこと付き合ってるって本当なの?」




今、毎日来てくれてる客のさやかに上目使いで聞かれた。



俺はゆっくりした口調で喋りかけた。




「それがさぁ〜困ってるんだょね。ちょっと優しくしたら本気になっちゃって…勝手に彼女ズラしてんの。」




そう言って優しく頭を撫でる。




「優しくって、何したのぉ〜…雅人こわぁぁぃ。」




「怖くないょ。」


俺はにっこり笑った。




甘えられ、背筋がぞわっとしながら、仕事だといい聞かせた。




正直このさやかこそ、勘違い女だ。




顔も悪いけど見れないくらいキツイ…





なのに、いつも凄い前向きだ。





亜紀子もこれくらい前向きなら…




って今は仕事中だ!!




こんなんだから売上も落ちるんだろうな…









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