嘘。『彼』
「あんた…誰…」













亜紀子はたまに訳の分からない事を言う。











そして子供の様に泣き叫ぶ。









泣いたと思ったら、ニコニコ笑って。










気持悪いと言っては、酒も飲んで無いのに、トイレに隠って吐き続ける。









そしてたまに目が虚ろで、話し掛けても反応しない。





感情の起伏が激しくて、全く普通の時はいいんだけど、それも長く続かない。






言葉を知らない赤ん坊の様に―


いつも理解不可能な行動ばっかり取ってる亜紀子と、正直、一緒に居る事に疲れてきていた。









原因なんて分からない…







ただ、その時ちゃんと亜紀子と向き合わなかったのは確かだった。








病気でもないのに、病人の様に布団から出なくて、仕事も平気で休む、ただの甘ったれ。







そんな風にしか見ていなかった。





< 77 / 85 >

この作品をシェア

pagetop