嘘。『彼』
「只今…」




仕事が終わると、やっぱりあの電話が気になって真っ直ぐ家に帰った。





玄関を開けると、カーテンが閉めきってあって真っ暗だった。




そしてシーンとしている。



「亜紀子…?」




薄暗くてあまり部屋の様子が分からなくて、カーテンを開ける。





「亜紀子!?」
















台所の下で真っ青な顔をした亜紀子が倒れていた。




一瞬酔っ払ってこんな所に居たのかと思ったけど、いつもと違う様子にすぐ気ずいた。








こいつ…



薬を大量に…








亜紀子はいつも何の薬か分からないけど、寝る前に飲んでいた。






いつも入ってるはずの薬ケースの空が転がっている。












「亜紀子!おいっ!」











何度揺らしても、ビクともしない。












やべぇ…












救急車を呼ばなきゃ。



でも手が震えて上手く携帯が使えない―







落ち着け…







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