嘘。『彼』
「次の雅人の休み、私も休み取ろうかな…」






布団の中で私は雅人にくっつきながら、呟いた。




「じゃ〜俺の実家に一緒に帰る??」





「えっ…本当に!?」






私はサラリと言った雅人の言葉が嬉しくてたまらなかった。




雅人の実家に行けるんだぁ…





「行くっ!」







見てみたかったんだ。


雅人のお母さん。


雅人が育った家。


もっと雅人の事知れそうで。



雅人の特別になりたかったんだよ?











でも―…










私は私。






雅人は雅人。









同じ人間では無いのだから距離を近ずけすぎたら、上手く行かない事。







それが分かって無かった私は、いつの間にか自分自身の欲望に、一人だけ溺れていたんだね。






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