指折り★Holiday
「菜子ちゃんは、
譲輝が菜子ちゃんを嫌ったと思ってるけど。
ほんとは、そんなんじゃないよ。
ただショックだっただけ」
止めていた歩み。
つかつかあたしの元へ来て、
朝のようにまた腕を掴む。
「菜子ちゃんだから、
ショックだったんじゃないの?」
そう言うとともに、
あたしを引っ張って歩き出す。
「ちょ、ちょっと! 何!?」
「どこ? 譲輝と会ってたとこ」
「何でそんなこと聞くの!?」
「決まってんじゃん。行くから」
その言葉に、
眼を見開かせ足を踏ん張る。
やだ。行きたくない。
“あの場所”には、
行きたくないよ・・・・・・・
譲輝くんがいないことを知っているのに、
あそこには行きたくなかった。
だって行ったら、
楽しかった記憶が頭の中を占領する。