指折り★Holiday
さっきから黙りっぱなしの
あたしを見かねて、
不審そうに眉をひそめて
こちらを見つめる綾乃。
なんだ、その軽蔑の視線は。
視線が、冷たすぎるよ・・・・・・
「なんでもない!」とだけ言って、
黒い携帯の蓋を閉じ、ポケットに入れる。
なんかバレたら駄目な気がするし。
「次、移動?」
「うん。選択家庭」
「家庭室かー、遠いな。
これだから移動はイヤだよね!ねっ!」
「どうしたの、菜子?」
心配する綾乃をかわして、
後ろのロッカーまで教科書を取りに行く。
黒い携帯。
小説画面。
朝の出来事。
胸にある“確信”は、
これから徐々に確かなものへと変わっていく。