指折り★Holiday
できればこの状態じゃなく、
違うときに耳元で囁いてほしかった。
そんな不謹慎な考えが譲輝くんにバレないように、
俯いて、手をもじもじさせながら、
必死に言葉を紡いで言った。
「あの、開きっぱなしで・・・・・・
ちょっと確認したら小説、みたいで・・・」
「で?」
「で!? で、あの~・・・・・・
なんか見たことある話と言うか、
内容、と言うか・・・・・・」
「さっき俺に言おうとしたことは何?」
たどたどしいあたしに比べ、
冷静に重要なところをついてくる譲輝くん。
譲輝くん、弁護士とか向いてそう・・・・
もしくは、ツボ師?
冷や汗なんかダラダラで、
手汗もびっしょり。
黙って見過ごしてもらおうと思ったけど、
そんなことは許されないだろう。
「譲輝くんが・・・・・・」
心の中で決心して、
顔をあげ、譲輝くんの目を見つめる。
「柚木モモなの・・・・・・?」