指折り★Holiday
今まで甲羅に引っ込んでた亀が、
首を伸ばしたみたいに顔をあげる。
一瞬しか見えなかったけど、
あれは確かに譲輝くんだった。
だけど、あたしは座ったまんま。
今更行ってどうするの?
譲輝くんに会って、
何を言うつもりなの?
ぐるぐる、ぐるぐる。
想像だけが、
頭の中を駆け巡る。
視線の先の携帯。
進まない時刻。
帰りたくない家。
迷いは、一気に消えた。
トレーを掴んでゴミを捨て、
携帯を鞄に投げ入れ走って外へ出る。