指折り★Holiday
『忘れろ』?
『なかった事にしろ』?
――――無理だよ。
大好きな“柚木モモ”に会えて、
その本人があたしの目の前にいる。
ほっとけない。
ファン根性ナメないでよね?
「はぁっ、はぁっ・・・・・・」
切れる息を押さえることなく、
あたりをキョロキョロ見渡す。
こっちに来たんなら、駅だ。
まだそんなに遠くには行っていないはず。
駅近くにあるお店が並ぶ所から、
駅までは遊歩道が続いてる。
今の時間は少し人が多めで、
なかなか譲輝くんを見つけられない。
両サイドにベンチが置かれたその道を歩いていると、
見つけた。
どっしりと1人でベンチに腰掛ける
――――譲輝くんを。