指折り★Holiday
甘く、呟くような低い声。
あたしの鼓膜を刺激して、
脳まで溶かしてしまいそう。
ドキドキ心音が上がって、
あたしの顔を少し赤く染める。
「・・・・・・・え?」
「え? って・・・・・・」
呆れたように、
こっちを向いた譲輝くん。
染まった頬が見られないように、
今度はあたしが顔をそらす。
「だ、だって。ごめんなんて、
言われるなんて思ってなくて・・・・」
「微妙な反応だな」
微かに笑った声が聞こえて、
そっと譲輝くんの顔を盗み見る。
口角は上がり、
メガネの奥の大きな瞳が、
半分くらいまで小さくなってる。
――――2度目。
誰もが見ほれるような笑顔を、
もう1度見た瞬間だった。