指折り★Holiday
そんな冷めた譲輝くんを知ってか、
鳩くんは空へ向かって飛んでいってしまった。
「あ~ぁ、鳩くんが・・・・・」
「鳩に名前付けても無駄でしょ」
「どうせもう会わないし」
どこか、寂しそうな横顔。
鳩くんが飛んでいった空を見上げ、
譲輝くんは呟くように言った。
「無駄じゃないよ」
まっすぐ譲輝くんを見る。
「名前は記号なんだよ。
たくさんいる中で、
1人だけを見つける記号。
名前をもらえるのは、
すごい幸せなことなんだから。
自分が、特別だって思えるでしょ?」
なにげなく言ったあたしの言葉に、
譲輝くんが目を見開いてこっちを向いた。
今までにないパターンに、
瞬きを数回繰り返した。
「え、どうしたの?」
「それ、親父に言われた事ある」