指折り★Holiday
あたしの様子をじっと見ていた譲輝くんは、
近くにあったベンチに鞄を置き、
「ちょっと待ってて」
どこかへ行ってしまった。
こんな壊れそうなあたしを、
譲輝くんに見られたくなかった。
早く譲輝くんの前から消えて、
枯れるまで涙を流したかった。
でも、置かれた鞄。
まいったなぁ、これじゃ帰れない。
小さく溜息をついて、
鞄が置かれたベンチに腰掛ける。
しばらくすると、
自転車を押しながら譲輝くんが現れた。
「譲輝くんて、チャリ通だったの?」
「まぁね、駅から学校まで。
だから置きチャリ」
「前は歩きじゃなかったの?」
「そん時は鍵なくしてたから。
でもこないだ見つけた」
「そっか・・・・・・」
ベンチにある鞄に手を伸ばし、
前についてるかごに放り込んだ。
そして、あたしの鞄も取ると、
かごへと入れてしまった。