指折り★Holiday
きっと赤く染まったであろう顔を隠すため、
口いっぱいに空気を詰め込んだ。
これは怒ってるから赤いんですよ。
そう見せかけるため。
ぶーッと膨れたまま、
手元の携帯に視線を落とすと、
携帯画面には、
【百瀬譲輝】
の文字。
――――え?
「アドレス、交換するんでしょ?」
画面を見て固まるあたしに、
なぜか楽しそうな譲輝くんの声。
そっと視線を譲輝くんに移すと、
さっきの笑顔とは違い、
とろけるような、
甘い笑顔を零していた。
「暇んときにでも、
アンタのアドレス送れよ?」
ぐしゃぐしゃあたしの髪をなで、
自転車を漕ぎ出す譲輝くん。
あー、やばいな。