指折り★Holiday
どきどき高鳴る鼓動は、
治まることを知らなくて。
正常な音程を忘れてしまったようだ。
譲輝くんになでられた髪に、
そっと自分の手を置く。
髪なのに。
神経通ってないのに。
――――熱いよ・・・・・。
熱さを覚ますかのように、
ぱっぱっと髪を直し、門に手をかけた。
玄関の戸をあけると、
タイミングよくお母さんが階段から降りてきた。
「ただいま」
「お帰り、菜子。
ちょっとおいで。いいものあるよ~」
ニコニコ笑いながら、
また階段を上っていくお母さん。
――――なんだろ?
疑問に思いながらも、
ローファーを脱ぎ捨て階段を上がる。
「こっち、こっち」